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Special Talk Session特別対談

株式会社興建社 三井不動産レジデンシャル

パークホームズ荻窪三丁目

荻窪のエリア性にふさわしい「パークホームズ荻窪三丁目」は
いかにして実現したのか。

興建社が手がけた物件の背景にある物語にスポットを当てる対談企画。今回は、2022年2月に竣工した三井不動産レジデンシャル「パークホームズ荻窪三丁目」を紹介。歴史や文化が息づく荻窪の街にふさわしい分譲マンションとして、掲げる高い理想をいかにして実現していったのか。現場で何度も議論を重ねたポイントなどを交えて、完成に至るまでのストーリーを振り返ります。

パークホームズ荻窪三丁目

  • 2022年2月竣工。4階建て19戸の分譲マンション
  • 「荻窪三丁目の品格を、継ぐ。」というコンセプトのもと、長い歴史が息づく街にふさわしい「街並み」「文化」「緑」を未来へと受け継いでいく洋館邸宅を目指した。
  • 近隣には、中央図書館と一体となっている読書の森公園、太田黒公園、目の前に登録有形文化財の西郊ロッヂングがあるという、まさに荻窪の歴史と文化を間近に感じられる立地
  • エントランスがある西側のファサード、シンメトリーの構成が美しいエントランスホール、絶妙な色味を表現した外壁タイルなど、随所にこだわりが詰まっている

GUEST PROFILE

荻窪は、こよなく愛され、
憧れを抱かせてくれる街

田村

パークホームズ荻窪三丁目は、当社が2018年に販売したパークホームズ荻窪ザレジデンス以来、4年ぶりとなる荻窪付近での新築案件です。由緒正しい邸宅街の一角に建つマンションは、荻窪をこよなく愛する在住の皆さま、荻窪に憧れを抱く皆さまに、どう映るのか? 「こんな荻窪らしい素敵な住まいを待っていた!」と思っていただきたい。そういった願いから企画がスタートしました。

物件の担当者として整理していた当初のコンセプトは「荻窪プライド」。パークホームズ荻窪ザレジデンスのお客さまの声や、グループ会社のリハウスのエリアのお客さまの声を聞いていると、「荻窪在住の方はとことん荻窪を愛していて、この地を離れるという概念がないのではないか」と感じるようになりました。実際に歩いてみると、立派な邸宅が並ぶ邸宅が建ち並び、はるか昔から住まうための街であり続けていることが一目でわかりますし、この街並みを見ればその素晴らしさはひと目でわかる。荻窪は住んでみたいという憧れを抱かせてくれる街でもあるんですよね。

山賀

おっしゃるとおり、昔から長く住んでいらっしゃる方が多く、皆さん荻窪の街を愛しているという印象ですね。

田村

一方、この地の歴史を紐解くと、「西の鎌倉、東の荻窪」と称されるように、古くから東京近郊の別荘地として名高く、多くの政治家や文化人が居を構えてきた地である。私たちが感じ取っていたプライドや憧れの由縁が理解できますよね。
立派な邸宅街はほかのエリアにもありますが、荻窪の場合はその中に洋館造りの建物が点在しているのが特徴です。そこで、パークホームズ荻窪三丁目は由緒正しい「洋館邸宅」を目指そうということになりました。

長尾

パークホームズ荻窪三丁目の向かいにある西郊ロッヂングや、歩いて数分のところにある太田黒公園の記念館など、歴史ある洋館が多いですよね。

田村

そういった中で、パークホームズ荻窪三丁目は、これまでの荻窪を継承しながらも、これからの荻窪を象徴するような建物にしたいと考えました。
「洋館と言わしめるエッセンスは何か?」「洋館であると認識される構成要素は何か?」といったポイントを、数多くの写真を参考にしながら言語化していき、徹底的に議論した結果、「連続的に並ぶ窓」「シンメトリー」「基壇部、胴部、頂部のファサード構成」という要素を抽出し、これらを盛り込んで設計に反映することになりました。

大手デベロッパーの
仕様を
理解していることが
もたらす安心感

―興建社が三井不動産レジデンシャルの分譲マンションを手がけるのは、今回が初めてとなります。

田村

パークホームズ荻窪三丁目は、4階建て19戸の小規模マンションです。この規模の施工を請けてくださるゼネコンさんは限られていますが、興建社さんは近隣に建つプラウド荻窪三丁目などをはじめ、直近で大手デベロッパーの物件を手がけた実績が数多くあります。大手デベロッパーの仕様や品質管理のルールをご理解いただいているので、安心してお願いすることができました。

山賀

三井さんとは、別の物件(早稲田大学の学生寮「Campus Terrace Waseda」)はありましたが、分譲マンションは初めてだったので「厳しいんだろうな…」という緊張感はありましたね。

田村

そうなんですよ。本当に厳しいんですよ(笑)。弊社は自分たちで企画し、分譲し、入居後のアフターサービスも一気通貫で行っていますので、お客さまが住まわれてからのご意見を踏まえて、常に企画をブラッシュアップし、改善すべきポイントはいち早く是正して次に活かしています。その積み重ねによって、長年のノウハウが蓄積されるので、仕様や品質管理のルールも多岐にわたって数多くあるんですよ。他の大手デベロッパーさんも同様だと思います。

山賀

当然、目を通す仕様書も多くなりますよね。

田村

集合住宅として住民のみなさんに快適に暮らしていただくために、見た目はもちろんですが、音が上下の階に伝わらないようにといった遮音性能などの配慮も含めて、当社は目に見えない部分の仕様のルールが多いと思います。

長尾

私は所長として今回初めて三井さんの物件を担当しましたが、入居者への配慮が行き届いていることが細やかな仕様からもよくわかりました。

求められる細かなニュアンスの
違いに気づけるか

―「洋館邸宅」を再現するために、具体的にはどのような点にこだわって施工していったのでしょうか。

田村

こだわった点は数多くありますが、興建社さんとのやりとりで特に記憶に残っているのは、外壁タイルの色味と、エレベーターホールの折り上げ天井を含めたシンメトリーの納まりです。この2点は何度も議論を重ねて進めていきましたね。

荻窪の街並みのイメージがベージュに振りきっているわけでもなく、グレーに寄るでもない。グレージュのいい感じのところの色味を大切にしていることから、タイルの色味を決めました。

長尾

タイルは岐阜のタイルメーカーさんに特注しています。何種類かのタイルから選定して、試し焼きを作っていただきましたね。

田村

色味のほかにも、凹凸感も重視しています。ツルッとしたものではなく、ザラっとした質感ですね。そういった風合いにこだわりました。

長尾

ところが、実際に納品されたタイルの色味が、ややグレーに寄っていて、試し焼きと若干違ったんです。タイルを焼く上でニュアンスの違いというのは、まれにあるらしいんですよね。そのニュアンスのズレをどこまで許容するかという判断になりますが、これは求めている色味とは違うと思い、田村さんと一緒に確認して、全部焼き直してもらうことにしました。

田村

そういった細かなニュアンスの違いに気づいてもらえないと、タイルを張り終えて、足場を外して、いざ建物が姿を現した瞬間に「あれっ!?」となってしまうわけですよね。この違いに気づけるかどうかは非常に大きいです。

長尾

焼き直しのために、岐阜まで行きました。そこで焼き直したものを再度確認したのですが、ちょっと違う。今度はベージュ寄りだったんですよね。

田村

質感に関しても、凹凸感をもっと出したいと。

長尾

通常は重ねる釉薬は1層か2層ですが、今回特注したタイルは釉薬を3層重ねる珍しいもので、なかなか上手くいかなかったんですよね。結局、2回目に焼いたタイルと3回目に焼いたタイルをミックスして使うことで、色味が理想の幅の中にうまく収まっているものを使って仕上げましたね。

田村

理想の色味にたどり着くまでが難しかったですが、結果的に表情豊かなものになったので、タイルの出来にこだわった甲斐がありましたね。

―もうひとつのこだわりが、エレベーターホールの折り上げ天井を含めたシンメトリーの納まりですね。

田村

折り上げ天井は、天井の一部が少し高くなっている造りで、洋館らしさの要素のひとつとして今回特にこだわった部分です。

長尾

天井裏にエアコンを配置する設計になっているのですが、天井裏が折り上がっているので、実際にはエアコンが入るスペースがなくて。いろいろと試行錯誤しましたが、エアコンの吹き出し口が見えるのはどうしても避けたかったんです。

田村

エントランスホールの正面にアートを据えて両面シンメトリーにして、壁面を木パネルで仕上げ、同時に天井もシンメトリーに折り上げ、美しく見せたい。その際にエアコンの吹き出し口が見えるのは絶対に避けたいですよね。通常、所長の立場からすると、「三井さん、無理言わないでくださいよ」と言われても仕方がないところなのですが、長尾所長は我々の思いを理解してくださったので、それが何よりもうれしかったですね。

長尾

最終的に、エアコンは折り上げ天井の空間には入れずに別の空間に入れて、空気の吹き出し口/吸い込み口だけを折り上げの部分に設置するという対応にしました。吹き出し口/吸い込み口も、細くして、色を付けて、目立たないようにしているんですよ。エアコン自体も当初予定していたものよりもコンパクトなサイズに変更して。

田村

長尾さんをはじめ、現場のみなさんが苦心してくださったおかげで、エントランスホールの正面は完璧なシンメトリーで、芸術的な雰囲気になりました。

想像以上の出来栄えで、
今後に向けた好事例に

―最後に、完成に至っての感想をお聞かせください。

田村

想像以上の出来栄えで、「いやぁ、かっこいいな!」と思いました。足場が解体されて建物の外観が現れたときの感慨深さは忘れられません。こういった経験は、なかなかないですね。

山賀

ありがたいですよね。なかなかそんなお言葉はいただけないですから。

長尾

一生懸命に作りましたからね(笑)。

(一同爆笑)

田村

私自身、荻窪の物件を担当するのは今回が初めてで、思い入れが強く、妥協することなくプロジェクトを進めてきました。興建社さんには、設計段階で想定しきれなかった部分も、かなりカバーしていただきました。長尾さんのように自分で図面を描かれる所長さんの言葉には、やはり説得力がありますよね。

長尾

苦労した甲斐がありました(笑)。三井さんの案件は初めてということで、正直プレッシャーもありましたので、ホッとしたというのが素直な感想です。

向かいの西郊ロッヂングさんに、「すごくかっこいいマンションができましたね」と言われたのも、うれしかったですね。近隣対応で西郊ロッヂングさんに最初にご挨拶に行ったとき、「以前、別の建設会社のマンション工事で騒音・振動がひどかったので、気をつけてください」「興建社さんだったら、しっかりやってくださいますよね」と言われていて。工程表をお渡しして、工事が始まってからも都度ご説明やご挨拶に伺っていましたが、最終的にお褒めいただけてよかったです。

田村

近隣対応は本当に重要で、興建社さんには細かなコミュニケーションで良好な関係を築いていただき、本当に感謝しています。長く荻窪に住まわれている方々からお褒めの言葉をいただけるのは、なによりですよね。

パークホームズというブランドで、小規模でも、ここまで作り込むことができるということは、社内でもすごく評価されていますし、今後に向けた好事例になりました。地主さんにも大変喜んでいただいていて、「次も三井さんにお願いしたい」という循環につながるような完成度だと自負しています。この立地で、この条件が揃っていたからこそ、ここまでいい物件ができたのだろうと思いますし、シチュエーションも含めて同じものは二度と作れないでしょうね。高く掲げた理想をしっかりと実現していただき、100点満点です。これからもよろしくお願いします。